ぷかぷか浮かぶ、蓮の花

バラナシからデリー経由で南インドはケララ州のコチ(Kochi/Cochin)に下る。南インドは北インドと雰囲気が異なり、のんびりしていると聞いた。南インドはHome stay型ホテルが多くあり、ネットで記事を見かけて気になっていた。
朝10時くらいの飛行機だったが、乗り換えなりもろもろ含めて、到着は19時。そこから2時間ほど車で南に下ったKuramakomという小さな村へ向かった。道路も混んでいて、整備されていなかったので、車は揺れに揺れて、道中車酔いがひどかった。時間も時間、すっかり暗くなっていたので街並みはよく見えなかったが、Hotelという看板が目立った。しかし、どうやら食堂のことを指しているらしい。看板の文字も、上部の一本線が特徴的なヒンディー語とは異なったうねうねした文字だった。(のちにマラヤーラム語と判明)

しばらくして、街から村へ景観が変わった。細い道を進み、車はホテルの前に泊まった。あたたかくホストの家族が迎えてくださった。お父さん、お母さん、お姉ちゃん、妹。フランス人ご夫妻も宿泊されていて、夕食の後のようだった。くたくただった私は簡単な挨拶をし、夕食も断り、部屋へ向かった。お部屋はめちゃくちゃ綺麗&久しぶりの個室なので安心した。

宿泊したのはこちら→Mango Kerala Homes

クラマコムの一日目は、ひたすら引きこもり、本を読んだ。ダーウィンの『種の起原』上下。なぜこんなにも言葉がすっと入ってこないのか…と思いながら読破した。ほどなくして夕食の時間になり、家庭料理を楽しんだ。

クラマコムの二日目、フランス人ご夫妻が朝一番のボートツアーに行くとのことだったので、お邪魔した。クラマコムの目的が、このボートツアーでゆっくりすることくらいだったので、ちょうどよかった。朝六時、ボートが迎えにやってきた。

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ここでも川である。静かな川の上を、進んでいく。薄くかかっている靄もきれいだ。
途中、何個か現地の家に止まり、生活の様子を見せていただいた。「生きるため」に生活をする、非常にプリミティブな印象を受けた。

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ココナツの殻から、糸を作り出す様子。

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ココナツの実をとるための、木に登れる器具で木に登っている様子。(めっちゃいいな…)
クラマコムの男性は、布を巻いたスカートのようなものを着用していた。

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バナナの葉っぱで屋根を作っている。かつては住居の屋根にも使われていた。今は物置などの屋根に使われている。目の前で器用に編んでいく様子は美しかったし、そうこうしているうちに一枚完成していた。

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インドの田んぼ。日本ではもう収穫が終わって新米の時期だけど、気候の関係か、これからがシーズンのようであった。

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ココナツの花を収穫した後、そこから出てくる蜜を取り出して、発酵させてお酒にするようである。朝夕で6L収穫できるらしい。汲みたてのものを飲ませていただいたが、甘みの中に酸味が広がった。若干甘口の日本酒と近しい味がした。

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ボートは進み、日も昇ってきた。1時間ほどして、ホテルに戻ってきた。朝ご飯を食べた。

滞在中は、ステイ先の子どもたちと遊んだり、アーユルヴェーダマッサージに挑戦した。
小3くらいのお姉ちゃんに、マラヤーラム語(参考:マラヤーラム文字)を教えてもらったり、日本語を教えてあげたりした。マラヤーラム語がくにゃくにゃしているので、ひらがなの独特な曲線には慣れているようだった。名前は「みぬ」ちゃん、ひらがなでも一番くねくねしている2文字も上手に書きあげていた。

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マラヤーラム語は、ケララ州で使われている言語。お父さん曰く、公用語はヒンディー語と英語、それに加えて州ごとに違う言語が使われているとのことだった。それらは州公用語として18言語あるらしい。(参考:インドの公用語)デリーでも、道路標識にヒンディー語・英語。ウルドゥー語・パンジャーブ語の4言語あったからな…。同じ国だけど、方言とかの度合いを超えて、文字から違う言語が使われているということが興味深い。
みぬちゃんの教科書を見せてもらった。英語・数学・歴史・国語・社会・一般常識などが1冊にまとまっていた。教科書のトップページにSDGsの記載があって、驚いた。みぬちゃんも英語をぺらぺら話せていて、すごいと思った。インドでは、ヒンディー語を喋っているかと思えば、英語が聞こえてくることもあって、どういう使い分けをしているのか気になった。

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アーユルヴェーダマッサージは、ケララ州発祥の有名なオイルマッサージ。自然由来のマッサージを使って、全身をほぐしていきます。ホテルが斡旋していた場所に連れて行ってもらった。全裸で施術を受けます!当たり前ですが、非常にoilyになります!担当してくれた女の子は私と3歳違いの子で、学校に通った後に施術師となったらしい。マッサージがとても気持ち良かった。最後に、座ったままサウナになる機械に入り、スチームをあびる。まさかインドでサウナ体験ができると思わなかったのでとても嬉しかった。髪の毛から足先までオイルまみれになったので、ホテルへ戻った後にシャワーを浴びて、ひと眠りした。

ほどなくして起こしてもらい、前日に「明日の夜ご飯は一緒に作りたい」と伝えていたので、一緒に台所に立たせてもらった。「今までそんな人はいなかった」とお手伝いのおばちゃんに驚かれた。

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最初に玉ねぎを炒めて、トマトとグリーンチリを加える。カレーリーフも投入。日本ではあまり見かけないので、ローリエとかでも問題ないと思う。塩と胡椒と砂糖、トマトソースで味付け。最後にコリアンダーを混ぜて炒める。

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クラマコム滞在では、本当にのんびりできた。同じ時期に滞在していたフランス人ご夫妻は、これからアグラやジャイプール方面に北上したあと、ゴアでのんびりするそうだ。最終日の夜、フランス式のビズーを久しぶりにしたので、新鮮な気持ちになった。Au revoir!

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フランス人の奥さんのほうが、みぬちゃんの髪形をほめた。I love your hair. するとお母さんが即座にNO!と言って、私を指して「あのくらいストレートな髪形がよかった」といった。親に否定されてしまうと、たとえ遠慮や謙遜だったとしても自信を無くしてしまう気持ちがよくわかるので、心が痛んだ。みぬちゃんにとって、今は何にも思わなくても、将来コンプレックスに感じてしまう時が来るかもしれない。そんなことないし、自信を持ってほしいなという意味を込めて「I love your hair!」とみぬちゃんに伝えた。